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ベベルギアとは

    

ベベルギアとは(原理)

ベベルギアとは、ベベル(Bevel)という言葉が表す通り傾斜のある傘のような形の歯車のことです。円すい、または円すい台の側面に歯がきざまれており、直角に交差する2軸間で回転を伝達するときに使用されます。トラックなどに多い後輪駆動車は、トランスミッション(変速機)からプロペラシャフトを伝わってきた動力を後輪シャフトに向きを90°変える必要があります。その役割を果たすのがベベルギアです。

このページでは動力伝達に欠かせない機械要素であるベベルギアについて紹介します。

ベ軸位置変更ベルギアウォームギア比較

歯車の歴史は、紀元前と古くローマやエジプトで井戸から水をくみ上げる装置に使われたのが始まりと言われています。その後、時計や天文学計算機に用いられました。15世紀の天才芸術家レオナルドダヴィンチが現在使われているベベルギアの原型を描いていたそうです。

中世より時計に使われるようになり、その後時計と共に歯車は進歩していきました。歯車の精度が悪いと時計は遅れたり進んだりしてしまうので、歯車の技術は日進月歩で大きく変化してきました。そして機械工業の成長とともに現在のような歯車製作の発展へと繋がっていきました。

ベベルギアの特徴(役割)

歯車でまず思いつくのは平歯車かもしれません。平歯車は歯車同士が隣り合い、回転軸は平行に並んでいます。
それと異なりベベルギアは、歯車通しがおおむね90°に交わって回転の力の向きを直角に変えることができます。傘のような円すいの形をしており、ベベルギア同士を組み合わせて使います。
また、ベベルギアの回転数の変え方は平歯車と同様、回転数を同じにするには同じ歯の数のベベルギアを使います。回転数を変えるには歯数の違うものを使います。同じように2軸が90°に交わるウォームギヤがありますが、回転数を変える減速比の大きさが大きな違いです。

ベベルギアの主な用途

回転の向きを90°変え、動力を伝える機構に用いられます。昔の喫茶店に飾られていたような大きな手回しハンドルがついたコーヒーミル、手回し式のハンドミキサーやハンドドリルなど目にしたことがあるでしょう。
また前方にエンジン、トランスミッションを配した後輪駆動の自動車、いわゆるFRの構造にベベルギアは不可欠なのは言うまでもありません。

ベベルギアの種類

ベベルギアには歯の形状によって主に4種類があります。
それぞれに特徴があるため性能、コストで設計に上手く使い分ける必要があります。

  •  ストレートベベルギヤ
  •  スパイラルベベルギヤ
  •  ゼロールベベルギヤ
  •  ハイポイドギヤ

ストレートベベルギヤ

すぐはかさ歯車(スパイラルベベルギヤ)ストレートベベルギヤ

直歯(すぐば)傘歯車とも言います。
シンプルで歯車がかみ合う面と回転軸との交線である歯筋が直線であるのが特徴です。
軸方向に作用する力であるスラスト荷重が小さいのでスラスト荷重を嫌うところに多く使われています。軸受けを簡素化できる利点もあります。

反対に難点は、高速回転させたとき騒音が大きく振動が大きくなってしまうことです。
これらの特徴からストレートベベルギヤは、コストを優先する場合や高速回転が必要ない場合、騒音が問題とならないときに使うと良いでしょう。
一般に比較的低速(周速2m/s以下)で運転される場合に使用されます。

スパイラルベベルギヤ

曲がりかさ歯車(スパイラルベベルギヤ)

曲り歯(まがりば)傘歯車とも言います。
歯筋がらせん状、つるまき線状でねじれ角をもっています。
歯筋が曲線状に見えるのが特徴です。交差する二つの歯車が互いに絡みつくことでより強くかみ合います。
高速回転でも騒音、振動が少なく、歯面強度が高い。
また歯面への負担が少ないことが利点です。

ゼロールベベルギヤ

ねじれ角が0°の曲り傘歯車でゼロール傘歯車、ゼロールベベルギヤとも言われています。ストレートベベルギヤ、スパイラルベベルギヤの特徴を合わせ持った傘歯車です。スパイラルベベルギヤに比べるとスラスト荷重を抑えられることが大きな利点です。

用途例は、産業機器や自動車でコストを抑えつつ使うのに良いでしょう。

ハイポイドギヤ

ハイポイドギヤ

ハイポイドギヤは、スパイラルベベルギヤの直交する回転軸において、ピニオン側を下にオフセットさせたギヤです。スパイラルベベルギヤと比較すると、ピニオンを大きくできることで高強度となり、噛み合い率も大きく、滑らかな噛み合いで振動騒音も抑えられます。しかし、噛み合い歯面の滑りが大きく、高面圧のために歯面のスコアリング(焼き付き)が発生しやすく伝達効率も低下します。

ベベルギアの歴史